不動産事業の中でもとりわけ長く賃貸借住宅に係わってきた経験の中でも特筆したい事があります。
古アパート1
築40年ほど経たアパートです。空室が増え、手入れの行き届かない建物があります。不動産業者にとって長年入退去のお世話をしてきたビジネスの友です。

このアパートも住人を数世帯残すだけで空室だらけのアパートです。この様に半世紀近くビジネスの友として歩んで来たアパートですが、寂しい限りです。そこで、何故このような姿になって来たのかいろいろなケースを体験してきた目線で現状を見てみたいと思います。
第一回目は時代の流れから見た「住居再生・居住支援・生活支援」が必要な中古アパートと時の流れを考えてみます。

30才台前半の若かりし頃に知り合ったA氏の依頼でその姉の所有する新築アパート10世帯の1DK(25㎡)の賃貸借・管理に係わってきて約40年を経ました。その間には、このアパートの住民との入退去やメンテナンス、入居者の人生等に係わってきました。その40年前に入居された方が未だお二人方が二世帯居住しています。
もうお二人ともアパート築年数同様に高齢になっています。お二人ともただの一度も家賃が遅れた事がありません。
鹿児島市南部の立地の良い処なので新築当時から20年程はいつも満室で若い方や女性やサラリーマンの方やらで賑わっていました。
ところが約25年を経た頃から空室が出始めました。その頃でしたが、一人家賃の長期延滞者がいて夜逃げ事件が発生しました。どんなに行方を捜しても分からなく、仕方なく保証人に連絡をして散らかし放題の部屋の片づけや荷物の撤去に追われました。
この頃から建物の維持管理やメンテナンスに追われるようになりました。台風の度に瓦の補修、ベランダ修理、雨どい修理、給排水管のメンテナンス…不動産業者の管理アパートへの悪戦苦闘の日々が訪れたのです。建物外部の防水塗装など外部の維持メンテナンスの内は、それでも手間がかかりながらも何とか対処出来ましたが、部屋の内部となると自然劣化への対処は入居者の数×入居者の感性の数となりますので対処は倍々になります。
今日この部屋の壁の補修をしたと思えば、明日は別の部屋の風呂の修理、その次は別の部屋のふすまの建付けの修理、又その次は別の部屋のトイレの排水漏れ…もう仕事どころではありません。
家主さんに事情をはなしをしても「大規模なアパートの改修は出来ないので、不動産屋さんの方で現場に対処で着る範囲でお願いします」との事で積極的にアパート経営に拘わる事がなくなっていました。そのような事態のアパート経営の数年を経た10年前ごろから空室が目立ち始めました。

空室が目立ち始める頃から、新規の入居者募集の為従来よりも少し家賃を下げても入居者確保の要請が家主さんより入る様になりました。それでも現在に比べると未だ入居率は50%-60%程度で推移していました。
ところが新規入居者の度に、部屋の鍵の修理、畳・襖の新規入替え、壁の下地の補修、天井の自然劣化の補修、台所のさび対策でのキッチンの入れ替え、トイレ・風呂の設備更新、サッシの更新など家賃の数十倍にも及ぶ部屋の維持メンテナンスへの費用に家主さんが悲鳴をあげました。
既存入居者からも同様な要請が出て参りました。そうなると新規募集どころではありません。その為、この10年程は積極的に新規入居募集をしなかったのですが、気が付けば前述した新築当時からの入居者二世帯と20程前入居された方の合計、三世帯のみの老朽化したアパートになっていました。

不動産業者から見た賃貸住宅としては軽微なメンテナンス、設備の維持は耐用年数までとして、耐用年数を経過した段階で住居再生の仕方、設備の時代の流れに沿った更新等を含めたアパート経営の在り方を家主さんというパートナーと建物というパートナーに住居再生の有り方と不動産有効活用について真剣に話し合ってアパートの賃貸経営する意味を再確認する必要を感じています。
その為には、家主さんと不動産業者が真剣になってアパート経営を事業としての経営計画を立案し、実行する事の大切さを感じています。